新型インフルエンザについて、
専門家までが「弱毒性」という言葉を使っているが、
この言葉は、できる限り使わない方がよい。
そもそも「弱毒」とはなにか?
病原性の「野外株」はすべて「強毒」。
これに対して「弱毒」とは、低温馴化などの処理で
「弱毒化」したワクチン株などに使う用語ではないのか。
また、季節性インフルエンザと同等の病原性というが、
この季節性インフルエンザこそ、
過去に大流行と多数の死者をもたらした香港かぜ、ソ連かぜであり、
1918年のパンデミックをもたらしたスペインかぜも、
その後数十年は季節性インフルエンザとなっていた。
季節性インフルエンザを恐ろしく感じないのは、
抗体を持つ人が多いので、パンデミックにならないからに過ぎず、
体力や免疫力のない人にとって極めて危険な
「強毒」「野外株」であることに変わりはない。
事実毎年、日本ですら万単位、米国でも3万を超える人が
季節性インフルエンザで亡くなっている。
多数の人がある程度の抗体価を持ち、
ワクチン接種を受けているにもかかわらず、である。
通常のインフルエンザ、死者は年間3万6000人と 米国
こんなものと「同等以上」の病原性を示し、
ほとんどの人が抗体を持たず、
ワクチンもまだ存在しない新型インフルエンザウイルスに対して
「弱毒」という言葉を用いることは、誤解を招くだけでなく、
用語の混乱をも引き起こすので、絶対に避けるべきですね。
ちなみに、このところ話題のH5N1は
「
高病原性鳥インフルエンザ」でしたよね。
と言ってる間に、こんなレポートが出てました。
Early Lessons From Mexico's Swine Flu Outbreak
Pandemic Potential of a Strain of Influenza A (H1N1) : Early Findings
C. Fraser
et al. Science Express, Published Online May 11, 2009
新型の致死率0・4% 季節性インフルより強い感染力
メキシコ 豚インフルエンザからの初期教訓 (内科開業医のお勉強日記)
「やがて訪れる過剰騒動」 (●砂時計通信●)