それぞれ単独では無害とされてきた二種類の化学物質が、
共存することで猛毒になることがわかりました。
Study identifies deadly chemical duo in contaminated pet food
(UC Davis Schonl of Veterinary Medicine News Vol.25, No.1)
2007年春に回収されたペットフードから検出された2種類の化学物質は単独では無害だが、一緒にすると猫が摂取した場合致命的な混合物となることを、カリフォルニア大学デービス校の研究者が報告しました。
獣医毒物学者Birgit Puschnerと、Animal Health and Food Safety Laboratoryの共同研究者たちが行ったパイロット研究により、メラミンとシアヌル酸を添加したペットフードを与えられた猫は急性の腎不全を起こすことがわかりました。どちらか一方のみを添加しても、猫は病気になりませんでした。
この結果はメラミンとシアヌル酸の動物に対する複合作用の最初の報告と考えられ、Journal of Veterinary Diagnostic Investigationの11月号に掲載されました。
「本研究の結果はたった一回、メラミンとシアヌル酸を口から摂取するだけで猫は急性腎不全となります」とDr. Puschnerは言います。「この研究で、猫の腎不全の原因について獣医師がよりよい診断をするために役立つ情報をもたらしてくれます」
メラミンは樹脂や肥料の製造に使われる化学物質で、全米で何十頭という犬や猫が犠牲になった2007年の汚染ペットフード事件の捜査では最初に疑われた物質です。捜査員はペットフードの窒素含量を増すためにメラミンが添加されたものと考えました。
研究者たちは困惑しました。というのも、メラミンは比較的害がないとされていたからです。さらに驚くべきことは、回収されたペットフードからシアヌル酸が検出されたことです。構造的にはメラミンと近いシアヌル酸は水泳用プールや風呂で、水中の塩素の効果を延長するためによく使われます。
研究チームは汚染食品のリスク評価に必要な広範なデータを提供するためには、猫に腎不全を起こすメラミンとシアヌル酸の最小量を決定するためのさらなる研究が必要であるとしています。
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