といっても今回は麻薬や覚せい剤の話ではなく、ブランド品の話でもありません。
ずばり、疫病です。
先だって、
タイ産の鶏肉(足)がアメリカに密輸されて発覚したという記事や
サルの輸入規制(禁輸)に関する記事をアップしましたが、こうした動物や食品、そして昆虫などの小動物を国内に持ち込む、あるいは逆に外国に持ち出すことはとても危険なことなんです。
もちろん、組織的な密輸は犯罪行為ですから、当局に厳しく取り締まってもらわなければいけません。特に南アジア地域で家禽の密輸ばかりでなく野鳥の密輸をしている組織の取り締まりを強化する必要があります。(組織的関与の可能性については
前の記事を参照してください)が、今ここで述べたいのは、もっと小さな規模の個人による密輸の危険性についてです。
ひとつの例として昨年ヨーロッパを震撼させた(笑)密輸事件を見てみましょう。
H5N1鳥インフルエンザ、密輸野鳥がヨーロッパに運ぶ (農業情報研究所)
この記事に大変詳しく書かれていますが、タイ産のクマタカを黙って持ち込んだタイ人が、たまたま麻薬取り締まりのチェックにかかったために発覚しただけで、もしそうでなかったら最も危険なタイプの鳥インフルエンザがヨーロッパで広まっていたかもしれないのです。
このときはタカを処分した獣医師が眼に感染を起こしたそうですが、もし摘発を逃れていたら持ち込んだ人を含めて、より多数の人が感染する可能性があったわけです。しかし、この旅行者はまさか自分が友人にプレゼントしようと思ったタカがインフルエンザに、しかも高病原性の鳥インフルエンザに感染しているなどとは夢にも思わなかったでしょう。
ちょっとしたおみやげのつもりで、生き物を持ち帰る、あるいは持ち出すことはとても危険なことなのです。さらに、小動物や食品には目に見えない害虫や寄生虫が潜んでいることもあります。そうした小さな生き物が外来生物として新しい地域に入り込むと、農業や畜産などに莫大な被害をもたらしたり、従来の生態系を大きく損なう可能性があります。家で飼うから大丈夫、というの考え方は禁物です。動物は翼があり、足がある限り、囲いから外に出るものです。逃げた後は管理しようがありません。
海外旅行では自分自身の健康管理も大切ですが、出来心の密輸にも気をつけましょう。
メコン・デルタで鳥インフルエンザウイルス拡大 飼育鳥の半数以上に陽性反応